桜の寿命

23日に、東京都千代田区の靖国神社で桜が開花したと発表された。平年より3日、昨年より2日早い開花だ。ところが、都内の桜の名所ではソメイヨシノの老木化が懸念されているそうだ。「60年寿命説」もあり、1964年の東京五輪前後に植えられた木が、2020年の五輪の頃にちょうど寿命を迎えるそうだ。倒木の危険から伐採を計画する自治体と保護を求める住民側の対立も出てきているという。
「ソメイヨシノは戦後多く植えられたクローン植物。寿命が60年ほどであることから、そろそろ全国のクローンが一斉に寿命を迎える。事実、立ち枯れ始めた木が最近目立ってきている」などという噂があるそうだ。ソメイヨシノは普通は接ぎ木でしか増やせないので、全国のソメイヨシノがクローンなのは間違いないそうだ。また50年以上経った現在、弱った木が目立ってきているというのも事実だそうだ。しかしあらかじめ60年という寿命があるのではなく、環境が寿命を決める一番の要因なのだそうだ。ソメイヨシノは大きく育つにもかかわらず、近い感覚で植えられていることが多い。異なる樹木であれば隣り合った樹木同士は光合成を行う上でのライバルとなるため、競合を避ける方向に伸びていくもの。対してソメイヨシノはどの木もクローンであることから隣から伸びてきた枝を自分と認識してしまい、お互いの枝が重なっていくことに気づかず成長を続けてしまうのだそうだ。その結果、どちらの木も葉に当たる光が少なくなり、少しずつ弱りはじめ、やがて枝が枯れてしまうのだそうだ。底から入ったキノコなどの腐朽菌がじわじわと幹にまで侵入し、致命的なダメージを負ってしまうのだそうだ。樹勢が最も高まる30~40年を過ぎた頃から問題が大きくなりやすく、この時期のダメージが引き金となって結果的に60年を目安に衰弱した木が目立ち始める。このことから60年寿命説が生まれたと考えられる。これは専門家が枝を間引く剪定を行えば避けられるため、ソメイヨシノが植えられている環境が大きく影響していると言える。また40年で樹勢のピークを迎えるということは、花見の名所に人を集めてしまうことにもなる。そうなると地面が踏み固められ、地面に浸透していくはずの水分や養分、酸素が根に届きにくくなり木を弱らせてしまっているそうだ。桜の花を今後も楽しむためには、もう少し桜を思いやって花見をするべきなのかもしれない。